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仮想人格:ロイドコア
ロイドコア (ROIDCORE) β版
話し言葉による知識の記憶と想起を実現した擬人化キャラクター

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 ■ 不気味の谷と不気味な文(記憶モデルがもたらす現象)   作成日:2013/9/20

 「不気味の谷」はCGやロボットの分野でしばしば取り上げられる「人の認識」における観測上の現象。両分野とも技術が進歩して、 CGやロボットの顔が本物に近付いてきた事で気付かれた現象である。 モデリングの精度や表現能力が上がり実物に近くなったにも拘らず人はそれに反する不気味な認識をする領域があるといわれている。 これらは言語においても同じ現象とみなされるものがあり、 大脳の記憶モデルを創っていると内外を問わず全ての認識において同様のことが起こり得るのと、それが感性と関わっていると考えた持論を紹介する。 ここで述べている事は学術的な一般論とは異なり、あくまでも仮説の域なので学生の方はくれぐれも注意して欲しい。 ここでは以下の問題提起の形で述べている。

認知能力の分解能
不気味の谷
不気味な文
日本語の分解能
言語と感性
:生物はどんな仕組みで認識の分解能の向上させているか?
:なぜ不気味の谷は本物の近くにしか存在しないのか?
:我々の普段の会話中に「不気味な文(発話)」は存在するか?
:日本語は「不気味な文」を生じ易い言語だろうか?
:言語の違いが認識能力や感性に影響するか?
仮想人格:小町
(C)高松啓二

【認知能力の分解能】
 高等生物の視覚や聴覚はその識別分解能を上げるために、面白い仕組みが備わっている。 聴神経においては隣接した2音間に抑制の効果(two tone inhibition effect)が見られる。 認知しようとしている音(正弦波みたいな単音)の近傍に音量が小さい別の単音が加わったとき、その認知が抑制される。 つまり、主なる音の認知能力を鮮鋭化させることができる。 音響の帯域フィルター群において隣接するフィルターに対してマイナスの重みを掛けることで認知応答を鋭くさせる訳である。 いわゆるデコンボリューション操作の一種になる。本来のデコンボリューションは周波数領域でインバースフィルターを使う。
 視神経においても、同じ効果(edge enhancement effect)がある。 これは空間周波数の見かけの分解能を上げるために注目画素の近傍画素にマイナスの重みを掛けることで輪郭を際だたせる。 画像処理のラプラシアンフィルターと同じである。 視覚による物体認識において物体のエッジを捉えやすくするための仕組みである。 当然のことだが人は全く濃淡がない平面の存在を視覚的に認識できない。
 これら二つの仕組みを音響処理、画像処理における情報処理の観点から見れば同一の手法である事が分かる。 ジンク関数のように負の成分を持つ重み付き移動平均である。 これらの例は音素、画素レベルの話であったが、人の大脳にも同じ仕組みが実現されていると考えられる。 つまり、神経細胞間の情報伝達に抑制系があるが、神経細胞の配置は 3次元の物理空間の制約があるので、近隣の神経細胞には簡単に抑制系のシナプスが形成できる。 ただ、ディスクリートである事と、一般に非対称であることが異なる。 実際、自己組織化マップ(SOM)などでもそうであるが、空間的にクラスタを再配置したいとき、 周辺部にマイナスの重みをつけると重心が過剰評価され分離自体は早く進む。 やりすぎるとゴーストが生じる。画像ではファントムやノイズとなって見える。

【不気味の谷】
 ツイッターでも触れたが「不気味の谷」は人気キーワードらしく、よく話題に出る。 「不気味の谷」とは人の顔などをCGや人形などで模した場合、 表現上、本物の人に近付くにつれて奇妙な違和感(不気味さ)を感じるようになる現象が起きる領域(谷の様に溝がある)の事である。 これは非常に本物に近いが本物と区別できている状態(偽物と認識)を指す。 この現象は、大脳における人の顔の記憶過程で、 人であることを正しく認知するための鮮鋭化学習が起こっていると見るべきであろう。 これは先に述べた聴覚と視覚で起こっている分解能を高める処理と同じとみなせる。 人の顔を学習することによってできたクラスタの周りには少し異なるもの(形状や色など)を抑制する事で強調(enhance)が起こっている。
 ここで注意しておかなくてはならないのは聴神経や視神経の場合は常に重み関数との積和であったが 脳神経の場合は学習時には抑制系のシナプスでクラスタの鮮鋭化がなされても 「不気味の谷」に感じるデータから想起するの場合の場合はマイナスのコネクションに関係した神経細胞のみが 興奮することである。識別能力をあげる為の学習時のみ効果(category ennhannce effect)がある。 それ故、これらの周辺部に相当する「人の顔に良く似た人形」を見せると マイナスの重み処理をされていると思われる部分に情報が集中する。 すなわち、抑制系のシナプスが数多く活躍する事になるのは本物の周辺にしか存在しない訳である。 この抑制系のシナプスが多数活性化している状態が不気味さを感じさせていると考えている。

【不気味な文】
 人の顔で起こる「不気味の谷」現象が会話の中での発話に含まれていてもおかしくない。 記憶モデルを開発していると、多様な対象への認知能力から音響、画像、言語であっても区別する事はない。 結果的に同じに見えるから構造として区別できないのではと考えている。 微妙に基本文法から外れた文章、なんとなく意味は通じるが、何か少しおかしい表現と感じる事、 これこそが「不気味な文」である。
 今までの議論は仕組み的に全て共通している。 我々が経験で覚えた事(人工知能的には学習)により形成された概念のクラスタは その分解能を高めるために近傍演算で負の重みを付けていたことである。 この負の重みの部分の情報(記憶の中心から少しずれたもの)が提示されたとき 本来は学習したものと違うために、抑制系のシナプスが興奮する。 文でこの現象が起こるとその文は「不気味な文」になってしまう。

【日本語の分解能】
 日本語の文を全てひらがなまたはカタカナで書いてしまうと普通の成人は読みにくい。 (ここは一般論なので幼児のひらがな文に関してはまた別の機会に譲る。) これは漢字の画像的な表意文字の特性が欠落するために起こると考えられる。 その一方で、助詞を変えたり、文節の順序を変えたりすると意味が異なったり、訳が分からない文になる。 しかし、変えた部分が微妙な場合、意味は伝わるが、不快な感じを抱く事がある。 (筆者自身が対話相手から良く言われるので、多分そうだろうと思っている) 筆者の個人的経験で申し訳ないが具体例として身近(子供の頃)で感じた事は
「いらっしゃいませ。こんにちは。」
「ご注文はこれでよろしかったでしょうか?」
 最初の文は2語とも最初に来るべき挨拶だと思っていた。(名前等の呼びかけは除く) 「いらっしゃいませ」を言ったシーンで既にこんにちは(またはこんばんは等)の 状態になっていて、なぜ同じ事を繰り返すのか、違った意味があるのかという違和感が有った。 後の文は「よろしかった」という部分の時制である。今、注文した直後なのに「過去は良かったが 今は違うかもしれない」という意味なのか、物理的に正しいが言ったそばから時制が過去になっている。 微妙にずれていることで不快な感じ(自分の学習と差異があるので違和感)を抱く文が「不気味な文」に相当すると考えている。 更に変更箇所を押し進めると「おちゃらけ」な感じが認識され、笑いと共に容認される。 不気味の谷も人の顔からかなり離れてアニメ顔や人形っぽくなれば不気味さが無くなり 時には滑稽さも感じられるようになるのと同じである。違和感は近傍にしか生じない。

【言語と感性】
 前述の日本語の例で分かるように、日本語には不気味さを生じる表現があり、それを無くす工夫として 「呼応の副詞」など文法的に縛りが掛けられている。 外国語にもこの様な縛りは人称や性で見られる。 この縛りを簡単に破る若者の話し言葉は「使い方が間違っている」という旧来の評価と「言い方が面白い」という評価に分かれる。 外国人が話す日本語に違和感を覚えるのは外国人はいとも簡単に「不気味な文」を 創れるからである。日本人も外国に行って不気味さを通り越して滑稽さを出してしまう 筆者みたいな人もいる。 「不気味な文」が生じ易いかどうかで、微妙な感性を表せる言語評価の指標に使う事も可能だろうし、 外国語を学び易いかどうかを「子音の数」や文法に関係なく評価しても面白いのではないかと考えている。
 詰る所、「不気味な文」の出現頻度は言語が張る言語空間の広さとその空間分解能 を規定する事にもなると考えている。 多分、話し言葉の多様性やゆらぎとも密接に関係するはずである。 そうであれば、感性もその空間内で表現語句として存在し、 また感情もその空間内にある学習された神経細胞の活性化状態から生成される事になる。 その結果、感性の表現語句が存在しない言語を母語とする人は対応する感性そのものが発達していないかもしれない。 だから日本語特有の表現で外国に無いものは感性の翻訳が更に困難になるし理解もされ難いと思う。


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